アルフィノがまたくしゃみをしている
適当に刈った草を碌に干しもせずそのまま積み上げて
ブランケットをかぶせただけのベッドだ
さすがに香りの刺激が強かったのかさっきから眠ったままくしゃみを続けている

この石作りの部屋には幸い暖炉があったのでそれを使い調理が出来た
クランペットの生地を固めに作り、小さな団子にしてフライパンに積み重ねて火にかける
その脇に小さい鍋で湯を沸かし布袋にコーヒー粉を入れたものを放り込むと部屋には香ばしい香りが広がった

それを嗅ぎ取ってなのかアルフィノが目を覚ました
起き上がりいい匂いだね、とまだ寝ぼけた声で私の隣に来て私の横に腰を下ろした

フライパンをゆすり生地をむりやり手でひっくり返し裏面も焼く
なんだい?それはと聞かれたので
これはオポオポブレッドと言って小さなパンが固まっているのでそれをもぎ取りながら食べるんだけど
オポオポが木の実を取ってるように見えるからそういう名前なんだよと教えた

コーヒーをカップに注ぎ、焼あがったブレッドを皿の上にどさっと乗せる
やきたてのいい香りがする
一塊をもいで口に運んだ
うん。不味くもないが旨くもない
本当のレシピよりかなりの手抜きだからな
アルフィノも不味くもないが旨くもないと言った風に食べている

これを初日に焼いたのだが辺りのモーグリが匂いをかぎつけてやってきたので
大して不味くもないが旨くもないんだよと渡したところもいで食べるのが楽しいと皆で取り合いになっていた
しかしやはり大して不味くもないが旨くもないと言っていた
昨日も数匹来ていたが今日はもう飽きたんだろう
それを聞いてアルフィノは君は本気でここになじむつもりなのかと呆れ気味だった

しかしモーグリたちはかつてこのあたりがどう呼ばれていたかを知っていて話を聞くのは面白い
たとえばこの先にあるかなり崩壊した円形の建物
飛竜泊と呼ばれているあれはかつて飛竜に乗るための空港のようなものだったらしい
ここで建設するための素材や生活物資などを運んでいたんだろう

石造りの建築物はイシュガルトだからだろうか
しかし白亜の宮殿のようなフォルムは見た事がない
シヴァ像の横にある不思議な回転するオブジェは「ランドロード」と呼ばれていて
モーグリ達曰く人間の王であったという
白亜の宮殿にもおなじ形の物が多数あるが、当時の王ならば
もっと中心部にあってもいいのではないか
あくまでもここは竜が統治する土地であったのだろうか?


そんな話をアルフィノにして見たところ、少し興味が沸いた様で
しばらく壁の文様や破壊された建物の本当の規模
人が生活したのはこの天空楼が中心なのだろうかなど語り合った


竜族の事もイシュガルドの書物に正確なものはないだろうし
折角なのだし色々調べてみたくなるんだよ、と言った


━そうだね、解決のヒントが得られるかもしれないね
 何か動きがあれば情報は来るだろうし、それもいいかもしれない



君の気が済むまで、とでも言いたいのだろうなと思いつつ
この後は二人で色々見て回る事に決めた



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