部屋に戻ると誰も居なかった
昼下がりの光が降り注ぐ窓辺にはあの椅子が置かれ、その上に数冊の本が積まれ、その下の床にもいくつかの本の山がある。
ベッドの足元側にある机代わりのタンスの上にはそっけない自分のカップと優雅な形のティーカップ。
その横にはごちゃごちゃと天秤やら鉱石が詰まった小さな箱やら錬金道具らしきものが犇いている。ベッドに腰掛けエスティニアンはもうすぐ来るであろう窓際の小さな玉座に腰掛けるガラクタだらけのこの城の新しい主の姿を思い浮かべた。
最初は何も無かったこの狭苦しい部屋に彼は日々細々と何かを持ち込んでくる。
部屋の外から気配がし、ごとりごとりと何かをぶつけながら運んでいるのだろう音がする。
それはドアの前までたどり着いたのだろう、どかりと置かれたらしい。
カギががちゃりと開けられアルフィノが入ってくると背中を向けてその何かを部屋の中に引きずるようにして運び込んだ。
「・・・何を買ってきたんだ」
アルフィノの腰ほどの高さで内部は3段ほどの仕切りがあり、一番下に両開きのドアがついた整理棚のようだった。
「丁度いい大きさの物があったんだ」
「丁度いい・・・ってこの部屋はとうとうお前の研究所になるのか?」
「そこまでの事はこの道具では出来ないよ。ある程度は持って帰るさ。その右端の角に置こうと思うんだよ」
やっと整理棚を部屋に入れドアを閉めると細い腕でよいしょと再び運び始める。しかしさほど高くは持ち上がらないのでまたゴトゴトと下の部分を床にぶつけながらじりじりと進むしかない。
必死な様子を見かねたようにエスティニアンが背後から回り込んでアルフィノの補助をするように棚を持ち上げてやると狭い部屋なので数歩程度でそれは部屋の隅に到着した。
ふう、とやや息が上がり気味なアルフィノが棚の上にぐったりとした様子でひじを付いて寄りかかった。
「よく階段をあがってこれたな」
「本当にね。多分擦れて傷だらけだよ・・・・・・ありがとう。これに本を入れていくから」
まだ背中にくっついて添えた手を離さないエスティニアンを労うが一向に動く気が無いらしい。そうなるとアルフィノは身動きが取れなかった。
そのままエスティニアンは屈みこんで首筋に唇を這わせた。襟元に長い毛先がさらりと流れてくる。
「・・・もう。何なんだい?」
問いかけでもフッと小さく笑うだけで、姿勢的には壁に向かい腰をエスティニアンに突き出す格好のままで唇だけで耳朶やうなじに愛撫を仕掛けられる。
くすぐったいよと腕の中で大して本気でも無くそれをかわそうとするが、いつのまにか手はアルフィの尻あたりに添えられていた。
タイツ越しに内腿の柔らかいあたりから割れ目の上をそっと指でなぞっていく。
じわりとした快楽に追い詰められ壁で頭を支えながらそれを受け止めるしかなかった。
もう片方の手も体をまさぐり始め、前で硬くなりつつあるそれをやんわりと硬い爪先で形を辿る。
「ん・・・」
アルフィノは前からも後ろからも甘く攻められ腕の中で逃れようも無く背中をくねらせる
不意にひょいと体を持ち上げられ棚の上に座らされブーツを片方強引気味に引き抜くと、片足だけタイツを脱がされ脚を大きく開かせた
窓際より高い位置にある場所で、そこからは夕刻に向けてくすみ始めた青空と向かいの建物の窓が見える。
「エスティニアン・・・ここは・・・」
気恥ずかしくなり肩を押して抗うがエスティニアンはかまわず脚の間に割り込んでそれも唇で愛撫しはじめた
「ガラスが光って外から見えないさ」
斜光が自分にも降り注ぎ露になった下腹部を輝くほどに照らしている
エスティニアンの舌先が陰嚢をくすぐるように舐め上げる。その生々しさが益々羞恥を加速しせめて身を隠そうと腰をずり下げると益々脚を大きく開く形になり、すっかりそそり立ったそれを口に含まれ後ろから指が押し入ってくる。
「ダメだって・・・!あっ・・・!」
内側をくねる指に翻弄されつつ体を強張らせると益々咥え込んだ部分の刺激が増し、自然に腰が揺れるのを押さえようが無かった
指が引き抜かれ我に帰るとエスティニアンが脚を抱え上げてアルフィノに覆いかぶさるように腰を抱き寄せた
「ほら。これなら見えないだろうう?」
「んんっ・・・」
入り口に猛々しいものがあてがわれ腕の力を抜くと支えるものが壁に背を当てただけのアルフィノの体は自然とそれを飲み込んでいった
「は・・・あっ!」
そして深い部分まで一気に貫かれた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「貴方は」
「ん?」
最後には床に這う形になり冷たい感触を二人して味わいながら横たわる
「新しい家具を買うたびにこうなるんだね」
「じゃあ次はテーブルか?」
「置く場所ももう無くなるよ」
 
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